美容コラム
目の下のクマ、膨らみに脂肪溶解注射は危険です
2026/06/08
目の下のクマ、悩んでいる人は多いですよね。
凹凸があるタイプのクマでは
眼窩脂肪という脂肪が膨らみとなっています。
そこで、結構医師も患者も安易に考えてしまうことがあるのが
「脂肪なら脂肪溶解注射で改善できるのでは?」
ということ。
でも、知らないと危ないので注意してください。
医師も知らないことがあるので、患者さんは
自分で注意しましょう。
眼窩脂肪に脂肪溶解注射をするのは
危険な可能性があります。
2009年のアメリカの眼形成外科の医学誌に掲載された
症例報告をご紹介します。
ある患者さんが、目の下の膨らみを治すために、
脂肪溶解注射を目の奥の脂肪に打ってもらいました。
すると、急に 眼窩の中が炎症を起こし始めた のです。
後で、その患部の組織を顕微鏡で調べてみると
・脂肪細胞が死んでいた
・そこに大量の炎症細胞が集まっていた
・神経まで異常な増殖をしていた
というのです。
目という極めて繊細で大事な場所で
制御できない炎症反応を起こしてしまうのは
とても怖いですよね。
最悪の場合、視力を失ったり、
眼球が動かなくなったりするリスクがあるということが、
実際の患者さんで証明されてしまった のです。

脂肪溶解注射の主成分はフォスファチジルコリンや
デオキシコール酸、その他の腫れ止めなどですが
脂肪を分解する作用で主に働くのは
デオキシコール酸です。
デオキシコール酸は「界面活性剤」。
シャンプーの泡立ちを思い浮かべてください。
界面活性剤は、油と水を混ぜる力を持っている。
そして、脂肪の膜を破壊する力がある。
だから脂肪細胞が死ぬのです。
眼窩の中には何があるでしょう
・眼球
・視神経(ここが傷むと、見えなくなる)
・眼球を動かす筋肉(ここが傷むと、目が動かなくなる)
・重要な血管(ここが傷むと、出血や阻血が起きる)
すべてが眼窩という狭い空間にギュッと詰まっています。
そこに界面活性剤を注射したら、腫れます。
狭い空間で炎症が起きたら、圧力は容赦なく上がります。
視神経が圧迫されたら視力が失われてしまうのです。

動物実験と人間を安直に結びつけるのはあまりよくないのですが
動物実験(マウスモデル)では、眼窩内にデオキシコール酸を注射すると
・注射後、わずか数分以内に11匹中6匹が死亡し
・生き残ったマウスは、眼窩の組織が壊死した
・より低濃度のデオキシコール酸を使ったマウスでも、
眼窩炎症、出血、眼球壊死が見られた
・下眼瞼への皮下注射でも、炎症性壊死と眼瞼変形が発生した
(Blessing NW, Lee BW, et al. 2021)
という報告もあります。

自分の考えや企業の言われるがままに
安全性の検証が薄いまま患者さんに対して
薬剤を使用する医師も
いますので、本当に注意しましょう!
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土屋 沙緒
Sunao Tsuchiya
医師としての視点で見る美容の裏側や、院長個人の考え、日常の出来事についてはnoteで発信しています。










