すなおクリニック院長の美容情報ブログ
目じりのしわ(からすの足跡)は、キープ?それともボトックス?
2016/09/02
ボトックスの注射を受けたことはありますか。
ボトックスとは、アラガン社が製造している
ボツリヌス毒素Aを製剤化した薬で、
厳重な製品管理のもとで製造・
運搬されています。
米国での品質テストに加え、
日本国内でも2か所の研究所品質テストが
行われ、―8℃以下の遮光状態で保管され、
発注すると5℃以下の遮光状態で
クリニックに届きます。
ボツリヌス毒素Aの製剤として
唯一の厚生労働省承認の薬品です。
日本では、
「ボトックスなんて美容の初歩」
「注射はいまや常識」という人もいれば、
「そんな薬は怖い」
「表情がなくなると聞いたから嫌」
と敬遠している人もいたり、
「なにそれ?知らない」という人もいたりで、
アメリカや韓国ほどの広まりには
達していないかもしれませんね。
世界的に見れば、2014年の
ISAPS(国際美容外科学会)の統計では
ボツリヌス毒素による美容治療は
全世界で年間483万件、
日本では年間約21万2千件と、
非常にポピュラーになっています。
同統計によれば手術以外の美容医療のうち、
45.6%がボツリヌス毒素による
治療とのこと。
世界的に見ると「一番人気」の施術
ということになります。
そんなボトックスで治療する
代表的な部位といえば、
まずは日本の厚労省が第一に
認可した「眉間の表情じわ」です。
その他、「おでこのしわ」や、
「顎の梅干しじわ」に使用されることもあります。
今回は目じりのしわに注目。
俗に「カラスの足跡」とも呼ばれます。
私はこのカラスの足跡がそれほど
嫌いではないのですが、
みなさんはいかがですか。
笑顔になったときに出るしわですし、
やさしい印象を与えることもあります。
一方で、やはり「しわくちゃ」な
印象を与えることもあるにはあるので、
やんわりとボトックスを注射してしわを
浅くしたほうが美しく見えるケースもあります。
やりすぎを嫌う日本人。
私もそんな日本人の一人です。
2016年3月の
Asthetic Surgery Journal
に、カラスの足跡の分類とボツリヌス毒素の
注射法を研究した記事が掲載されました。
左上のイラスト(full fan)のように、
上下にしわが寄ってしまうと
やはり老化の印象が強くなります。
人によっては哲学的な印象を与えることも
あるかもしれません。
右上のイラスト(lower fan)のような出方は、
やさしい印象を与えるように思います。
それでもしわの数が多いと気になることも
あるかもしれませんね。
左下・右下のように目じりの延長上に
のみ出るタイプは若い方で
しわが出はじめたばかりの方に
多くみられます。
いずれのしわの出方も、
ボツリヌス毒素でしわを
浅くしたり印象をやわらげたり
することが可能です。
また、上瞼・下瞼のたるみとりの
手術が有効なこともあります。
いずれにせよ、しわを完全に消そう
としてボツリヌス毒素を多く注射したり、
皮膚を切除しすぎたりすると、
決して良い結果は生まれません。
ボツリヌス毒素は大量に注射してしまうと、
硬くて不自然な表情になってしまいますし、
皮膚の切除のしすぎは好ましくない
目元の変形や眼球の乾燥を招いて
しまうこともあります。
また、目じりのしわは眼輪筋という
浅い筋肉だけでなく、頬の筋肉の
影響を受けていることも少なくありません。
眼輪筋外側へのボトックスの注射で
強烈に不自然になるということは
考えづらいですが、頬の筋肉に
ボトックスを注射してしまうと、
頬が下がってしまいます。
目指すべきは、
「感じのよい美しさ」
「自然な若々しさ」
上記の論文では、それぞれの
しわの出方に対して打つべき
ボトックスの量と位置が記載されていました
が、個人的には「これは欧米人むけなのかなあ」
という印象。
日本人にこんなにたくさん打ったら
不自然でお人形みたいになってしまう!
という感想を持ちました。
論文を参考にさせていただきながらも
日本人の体質と個々人の好みにあった
注射の仕方を、これからも
探っていきたいと思います。
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土屋 沙緒
Sunao Tsuchiya
京都の美容外科・美容皮膚科すなおクリニックの院長。医師として、そして一女性の立場から、ちょっと役立つ美容情報をお届けします。